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我々は腸内細菌と一体となって一つの生命体

 我々の腸内には、沢山の細菌が住んでいます。そのなかには善玉菌・悪玉菌・日和見菌など、様々な菌がすんでいます。

 腸内細菌の多くは嫌気性細菌であり、これらの発生の起源はなんと25億年も前。人類がこの世にでてからわずか600万年。脊椎動物の祖先が発声したのも6億5千万年前といわれていますから、生命体としては我々より遥かに先輩です。

 むしろ、25億年も前から地球に住んでいるこの微生物を住まわすために、我々の体があるといっても過言では無いかもしれません。腸内環境は嫌気性(酸素に乏しい)です。当時の地球は嫌気性の環境でした。しかし、6億5千万前くらいからは、現在のように大気中の酸素は約20%。

 これは、葉緑体を持つ微生物進化してうまれ、これらが太陽光を使って十数億年かかって酸素を産生したおかげです。

 つまり、腸内は25億年まえの地球の姿なのです。
IgA免疫染色

 我々人間、いや生物全は、バクテリアを運ぶ乗り物…

 じつは、そうでもないのです。我々には「腸管免疫」というものがあり、生物に必要なものと不必要なものを選別するシステムがあります。

 空腸動物という原始的な動物がいます。イソギンチャクなどがこれにあたります。

 イソギンチャクは、なんと腸だけの動物で、目も耳も足もありません。中枢、つまり脳もありません。

 からだは副交感系神経が張り巡らされているだけです。

 イソギンチャクは、口と肛門が同じところで、腸の袋だけの構造です。食べ物は腸にいきなりはいり、消化酵素で分解して吸収します。

 このときに、体に不要あるいは異物は排泄して取り込みません。これを腸管免疫といい、もっとも原始的な免疫といわれています。

 当然、同じ機構が我々人間にもあります。

 腐ったものなど、からだに不要なもの、毒がはいるとおなかを下して排泄するのも、腸管免疫の働きです。

 同様に、体に必要な腸内細菌、不必要な腸内細菌もじつは腸管免疫で選別しているのです。

 我々は、細菌に規制されているのではない、じつは細菌を選別しているのです!!

 腸管からは、IgAという免疫物質(抗体)が産生されます。一般に、抗体は異物と結合して排除する目的で産生されます。これを液性免疫といいます。直接、マクロファージのような貪食細胞が異物を食べて消化して排除するものを細胞性免疫と言います。

 通常は、この細胞性免疫によって貪食された抗原を情報から、ヘルパーT細胞のところに、「〇〇という抗原が入ってきたから、この情報をもとに抗体を作ってください」とこんどはB細胞に抗体産生の指令を出します。これを抗原抗体反応といい、特定の抗原に対する免疫ですから、特異的免疫ともいいます。

 この抗体のなかには、IgA(免疫グロブリンA)、IgG、IgEなどがありますが、腸管からはIgAが出て、腸内フローラに必要な細菌にこのIgAを使ってマーキング(標識)をします。

 これらのIgAによってマーキングされた細菌だけが、腸の粘液層というところに入れるのです。
粘液層

 この選ばれた細菌だけが、腸内フローラとして選ばれ、消化吸収のみならず、精神や癌の抑制などにも寄与しているのです。

 つまり、我々人間は、細菌に支配されているのではなく、細菌を選別して制御し、腸内細菌と共にあたかも一つの生命体のように生きているのです!!
(この項、続く)

(吉野敏明 筆)


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