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エンドスタチン遺伝子導入による、がん治療とは?①

エンドスタチン遺伝子導入によるがん治療の前に、「虚血」について説明します。

 虚血とは、血管の狭窄(血管が狭くなること)や閉塞(血管が詰まってしまうこと)によって血流が減少した状態のことです。たとえば、心筋梗塞や脳梗塞などがこれにあたり、虚血性疾患といいいます。虚血が続くと、血流の不足により酸素を運搬する赤血球が少なくなるため、臓器に必要な酸素を運ぶことができなくなり、組織は無酸素症となってしまい、最悪は臓器が壊死してしまいます。心臓や脳では死に至る病気となります。

 この虚血状態では、静脈血液量の低下よりも動脈血液量の低下のほうが危険です。 なぜならば、静脈には複数の心臓に帰るルートがあること、またそもそも肺で酸素を受け取っているのが動脈だからです。

 さて、エンドスタチンとは何でしょう?エンドスタチンとは内因性(生体が作る)の抗血管新生ペプチドで、内皮細胞の増殖、遊走、管腔形成を阻害します。ところで、がん細胞にはもともと血管がありません。それは、がんが未分化のまま増殖をつづけているからです。なので、がん細胞が増殖していくために新しい血管(血管新生)をつくって周囲の細胞から血液を引いてくる、ということをします。つまり、血管新生を阻害するタンパク質を働かせることで、がん細胞に新しい血管をつくらせなくして酸素や栄養を絶ち、がん細胞を壊死さるのがその原理です。

 そのためには、エンドスタチンを発生させる遺伝子を導入してこれを発生させなければなりません。そのためには、p53遺伝子導入とおなじく、アデノウィルスをつかって遺伝子を細胞内に送り込みます。(この項、続く)

(吉野敏明 筆)


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