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副作用の殆どない、がんのサプリメント-アルテミシニンの抗がん活性(Artemix)-

 がん細胞は、正常な細胞にくらべ、鉄を多く取り込みます。

 そのまえに、『トランスフェリン』というものについて説明します。トランスフェリンとは、血液の中の血漿に含まれるタンパク質の一種で、鉄イオンを結合し、鉄の輸送を担っています。そして、各細胞の表面にはトランスフェリンの受容体(トランスフェリンレセプター)があり、特に骨髄にある幼若赤血球ではヘモグロビン合成のために多量の鉄を要するので重要です。

 ところで、がん細胞には血管がない(未分化)なので、常に周囲に血管をつくって(腫瘍血管)、周囲の血管から血液を引っ張ってこようとします。この血管を作ることを抑制する治療が、このブログでも述べたエンドスタチン遺伝子によるがんを虚血させて治療(オンコーシス;組織の大量死)です。
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 つまり、がん細胞は血管が無いので常に低酸素でて血が集積しやすい状態になっています。つまり、がん細胞にはこのような理由によって鉄が多く取り込まれています。

 そのメカニズムは、前述したトランスフェリンレセプターを利用してがんは鉄を多く取り込んでいるからです。

 鉄が欠乏すると貧血になることはよく知られていますが、一方上記の理由によって、鉄が過剰になるとがんが発生しやすくなることも報告されているのです。例えば、鉄の代謝異常であるヘモクロマトーシスやC型ウイルス性肝炎では鉄過剰が起こります。疫学調査では、これらの疾患が肝臓がんにつながることが知られていますし、アスベスト繊維による中皮腫、子宮内膜症による卵巣癌にも鉄過剰が関与することが知られています。

 そこで登場するのが、アルテスネイトという物質です。アルテスネイトは、鉄イオンと反応してフリーラジカルを発生します。フリーラジカルとは、「対になっていない電子(不対電子)を持っているので、他の分子から電子を奪い取ろうとする分子」です。この代表格が活性酸素です。フリーラジカルはがんを発生させる原因とされる一方で、がん細胞自体がフリーラジカルに弱いことも知られています。

 つまり、アルテスネイトを投与することで、がんの細胞死を招くわけです。

 アルテスネイトを投与する前に、鉄を投与してがん細胞内の鉄の量を増やしておくと抗腫瘍効果を高めることが期待できます。

 正常細胞は鉄をあまり含んでいませんし、がん細胞はSODやカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の量が正常細胞に比べて少ないので、がん細胞に特異的に細胞傷害作用を示します。

 アルテミシニン誘導体は抗マラリア薬として使用され安全性も検討されています。アルテミシニン誘導体を使ったがん治療はまだ研究段階ですが、すでに臨床例での検討も行われており、有効性が報告されています。副作用が非常に少ないので「体にやさしいがん治療」に有用な薬と言えます。

 アルテミシニンは、古くから中国で青蒿というヨモギ科の植物が解熱剤として使われていました。そして、このアルテミシニンに抗がん作用があることが徐々に明らかになってきたのです。このアルテミシニンを発見したのは、中国のトゥーユーユー博士で、2011年に臨床医学賞であるラスカー賞を受賞しました。

 アルテミシニンは様々ながん細胞に対して効果があることが報告されています。白血病、大腸がん、肺がん、悪性黒色腫、肝臓がん、膵臓がんなどに効果があることが報告されています。

 これを錠剤にしたものが、Artemixです。

 Artemixに関するお問い合わせは、こちらまで。
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(吉野敏明 筆)


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